<初めての・・・>

20代後半に購入し、7年住んだ1DKのマンションをいよいよ手放す。
次は婚約者と一緒に賃貸を借りるつもりだ。

思えば部屋の間取りに一目ぼれして、
悩みながらも決断したマンションの購入。

色々な思い出が詰まっているこの部屋を、
出来れば高く売ってほしい。

とりあえず何社かに机上査定をお願いすることにした。
<着信アリ>

数社からは、その日の内に○○万円ですと、
机上査定の結果がメールで届く。

「大体似たり寄ったりだな~」と思いつつメールを見ていると、
突然見知らぬ番号から着信が・・・・。

「はい」

「もしもし、机上査定のご依頼を頂きました○○不動産の伊藤(仮名)と申しますが」
査定を依頼した会社の営業担当者と思われる女性からの電話だ。

話を聞くと、
「より正確な査定を出していので、
家にお邪魔してから査定をしたい」とのこと。

「いえ、まずはメールでも何でも結構なので、
机上査定の価格を教えて下さい」と答えるが、

「正確な価格を出したいので是非!」と食い下がる。

「実際の机上査定より高くなるケースが多いです。」
「机上査定だと周辺のマンション相場が基準なので、
間取りや眺望は加味されません」
など、どうしても家に行きたいとのこと。

熱意(というかあまりのしつこさ)に負け、
「まぁ大手の会社だし」という思いも合わさり、
渋々OKをし、予定を調整した。
<やってきたのは・・・>

当日を迎えインターホンが鳴る。

モニターを見るとビックリ。
何と3人もいるではないか。

てっきり1人で来ると思っていたので、
多少焦りを感じながら開錠する。

挨拶もそこそこに、名刺を受け取る。

「あれ?伊藤さんは来られないんでしょうか」
あれだけしつこく電話で食い下がってきた伊藤さんがいない。

「すみません。彼女は電話対応専門なんで、査定は私達が行います」
との事。

この時点でかなりの拍子抜け。
伊藤さんとやらは「アポを必ず取れ」と言われているのだろう・・・。
<肝心の・・・>

そうこうしている間に
「お部屋を見させて頂きます」と、
男3人が家の中をウロウロ。

「終わりました。では査定のお話をさせて頂きます」

へ??2~3分しか経ってないけど・・・。

「大きな傷がないか等を見るだけなので・・・」
とのこと。

わざわざ来る必要あったのか・・・と思いながら、
いよいよ肝心の査定額を提示される。

へ??他の会社より大分安いけど・・・?

「当社は周辺事例を参考に、より実現性の高い価格を提示しています。
他社がこれより高い数字を提示しているという事は、
売却途中で下がる事を見越しているんでしょう・・・」とのことだが、

そもそも周辺相場だけでなく、
間取りや眺望を加味するからわざわざ来たんじゃないのか・・・。

その後も色々と話をしていたが、
他の会社がメールでくれた資料と同じことを言っているだけ。
何でわざわざ3人も引き連れて来たんだ・・・と思っていると・・・

「もし今の話に納得いただければこちらにサインを」
と唐突に媒介契約書を出してくる。

良く考えれば今日は3月下旬。
3月末までに何とか数字が欲しいがために、
わざわざ電話で食い下がり3人も引き連れて来たのか。
<さようなら>

相手の意図が読めたら、更にトーンダウン。
何か商売っ気を感じてしまい一気に冷めてしまった。

死んだ魚のような眼をしている私に気づいたのか
「まぁ、後日でも結構なのでご検討ください」
と契約書をしまう担当者。

担当者3人はそそくさと家を後にし、
残ったのは30ページほどの資料と虚無感だけ。

その資料はゴミ箱行きになったことは言うまでもない。